神奈川県総合リハビリテーションセンター
七沢ライトホーム 矢部 健三
【目的】
中途視覚障害者には、点字触読の習得に大きな困難を抱えるケースが少なくない。その理由として、これまでは糖尿病神経症による触知覚の鈍磨などが多くあげられてきた。そこで、中途視覚障害者の点字習得、特に触読技術習得の阻害要因を検討するために、七沢ライトホームで実施した点字読み訓練の結果について調査した。
【方法】
対象者:1991年4月〜2009年12月の当施設入所利用者320名
調査方法:訓練記録の参照、訓練担当者などへの聞き取り
調査内容:基本属性、触知覚の状況、点字読み訓練の結果等
実施時期:2009年12月〜2010年1月
【結果と考察】
点字読み訓練の対象者は207名であった。年齢階級では、50代が最も多く28.0%を占めた。障害原因では、糖尿病網膜症が最も多く、30.9%を占めた。障害等級では、1・2級で95%以上を占めた。
この内、点字読速度が、標準的な点字で300字程度の短編を10分以内で読めるレベルに到達したものは、30名(14.5%)である。
年齢階級別にみると、10分以内に到達した者の割合は、20代が最も高く、40代・30代がそれに続いている。一方、紹介程度や構成のみで終了した者の割合は、50代から70以上が高い。19以下で10分以内に到達した者がいないのは、高次脳機能障害や知的障害などを重複した者が多数を占めたためと思われる。また、50代以上の者で読速度が10分以内に到達した者は、僅かに1名(0.5%)であった。
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最終更新日: 2012年2月20日(月)
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