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新しい命との18ヶ月−子育ての工夫

神奈川県・矢部健三

 次男を亡くしてから3年たった20084月、我が家にまた新しい命を迎えることができました。女の子です。長男は、弟を亡くしてから毎年七夕の短冊に、「兄弟がほしい」と書いていましたから、長女が無事に生まれたときには両親以上に喜んでいました。

 長男が生まれたときには、7ヶ月あまり育休を取得して僕が子育てを中心に行いましたが、今回は妻が休業して子育てに当たっているので、僕が長女と関われるのはとても短い時間です。出勤前や帰宅後、それに休日、一緒に遊ぶのが主です。調乳や授乳、おむつ交換も頼まれたときにやるといった程度で、あくまで長女の世話は妻が中心。ですから、長男のときのような育児を通じた充実感が味わえないのが少し寂しいところです。

 この18ヶ月を振り返って、長女の育児で何が大変だったかな?と思い出そうとしても、なかなか出てきません。思い出されるのは、長男が春と秋の2度、目を患って入院・手術をしなければならなかったこと、軽い気持ちで引き受けた子供会の役員が思いのほか大変で精神的に負担だったことなど。

 長女の育児に関することで強いてあげれば、晴眼の妻が中心に世話をしているので、何がどこにおいてあるのかよくわからないこと。「おんぶ紐はどこなの?」など、一々妻に聞かなければなりません。妻の機嫌のよいときにはいいのですが、虫の居所の悪いときなど、つっけんどんに応対されると、見えてさえいれば妻に頼ることなどないだろうに…と口惜しくなります。妻が外出して一人で長女を見ているときなどは、者を探し回らなければならないことが多くあります。粉ミルク用のスプーンを探しているうちに哺乳瓶を倒してしまったり、紙おむつを探していて柱に頭をぶつけたり…。こんなときは、「どうして使ったものを元の場所に戻さないんだ!」と一人で悪態をついています。(もちろん、面と向かってなんて怖くて言えません)

 いっそのこと、長男のときと同じように僕が育休を撮ればよかったのかな?と思うこともあります。でも、それはそれで大変なことだったなあ、とすぐに思い直します。いずれにせよ、見えない中で育児をするというのは大変なことが多いんだなあ、としみじみ感じています。もちろん、楽しいこと、嬉しいことのほうがずっと多いのですが。

 

「かるがも新聞」(20102月号)

 

 

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最終更新日: 201051()

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