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主夫の休日

神奈川県・矢部健三

 育休期間中の1日の様子を紹介しましょう。

 7時前後に起床して妻は搾乳・授乳、僕は朝食の準備(といってもコーヒーとトーストだけですが)と洗濯。朝食を食べ、8時過ぎに専門学校に向け出発する妻を息子と二人玄関でお見送りです。そのあと朝食や搾乳・授乳の後片付け、洗濯の続きに取りかかります。そうこうしていると10時近くなって2回目の授乳の時間です。調乳から後片付けまででだいたい1回の授乳に30分から40分。これがほぼ3時間毎にやってきますし、その前後にはおむつ交換があります。部屋の掃除を済ませてから天気のいい日には息子をおんぶして住んでいる職員宿舎の周りや近くの商店まで散歩。午後は、息子と遊びながら洗濯物を畳んだり哺乳便の煮沸消毒をしたり。ちょっとお茶でも飲んでのんびりして夕食の献立を考えているともう夕方です。4時過ぎから夕食の準備に取りかかります。5時過ぎに妻が帰宅。お茶とお菓子で親子3人一服したあと、夕食の準備を再開。魚を焼いたり盛り付けをしたりといった苦手なところは妻の手を借り、7時前後に夕食です。8時前後に入浴、9時前には就寝。

 という日課です。これが月曜日から土曜日まで、週6日続きます。

 子どもと二人で「のんびり過ごす」生活に憧れて育休を取ったのですが、実際やってみると家事はいくらやってもきりがないし、育児も忙しいものだということが実感できました。妻は必ず六時までには帰ってきて帰宅後は育児のほとんどを彼女がやってくれますから、普通の主婦に比べれば僕の家事・育児分担はとても軽いと思います。でも、毎日子どもと二人きりで家にいるとときには息抜きもしたくなります。

 僕は学生の頃から続けている趣味があります。スキーです。友人と連れだって年に四〜5回、結婚後もこのペースで毎年スキーに行き続けていました。育休を取っている今年はちょっと無理かな?とあきらめていました。でも、スキーには行きたい!という気持ちが日に日に強くなります。まあダメで元々と、妻に相談すると、「行ってくれば」とあっさり許してくれました。早速2泊3日で出かける予定を立てました。

 スキーに出発する日が近くなってきました。夕食のときに週末家を空ける日程を妻に確認すると、「え?そんなの聞いてないよ!」「前に言ったよ。行っていいって言ったからツアーに申し込んだんだよ。」「そうかも知れないけど、育休中なのにどうして子どもを置いて家を空けられるの?普通のお母さんはそんなことできないんだよ!」どうも虫の居所が悪いようで食卓には険悪な雰囲気が立ちこめます。でも負けてはいられません。

 授業のない土曜の午後、妻は太極拳の教室に通っています。勉強の一環でやっていると言いますが、僕にしてみれば、妻は毎週趣味の活動をしているのに、どうして僕は年1回のスキーも許されないの?という気持ちになります。それに、一般的な話しとして、家事・育児のほとんどを女性が担っているという社会の現状はわかりますが、だからといって夫と妻の役割を入れ替えることが男女平等や女性の社会参加に繋がるとは思えません。そこでこう反論しました。

 「僕は男だからお母さんにはなれないしなりたくないよ。恵は僕に普通のお母さんと同じにしろって言うの?僕が育休を取ったのはお互いの負担を軽くするためでしょ?」

 夫婦喧嘩ではいつも負けばかりの僕ですが、このときはなんとか勝つことができました。

 

「かるがも新聞」(1999年6月号)

 

 

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最終更新日: 20091128()

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